デザインは浮世離れしているが、実現したい世界観は地に足が付いている——。モーターショーに華を添えるコンセプト車。奇抜な外観デザインに目を奪われがちだが、しっかり覗き込むと自動車メーカーの将来戦略が見えてくる。

図1 Airbus社とItaldesign社が開発したコンセプト“車”「Pop.Up」
図1 Airbus社とItaldesign社が開発したコンセプト“車”「Pop.Up」
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 人だかりを作っていたのは、ドローンだった(図1)。自動車の祭典である「ジュネーブモーターショー2017」の会場であるにも関わらずだ。直径が約1.8mもあるプロペラを4機備え、カプセル型の乗車スペースには二つの座席が用意されていた。

図1 Airbus社とItaldesign社が開発したコンセプト“車”「Pop.Up」
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 この乗り物の名前は「Pop.Up」。開発を手掛けたのは、航空機大手のフランスAirbus社とデザイン会社のイタリアItaldesign Giugiaro社である。ドローンに見えるPop.Upをコンセプト“車”だと主張する。

 Pop.Upは、プロペラ部とカプセル型の乗車スペースを分離できる。そして、カプセルを「地上走行用のモジュールの上に載せれば、電気自動車(EV)として使える」(Airbus社の担当者)という。地上走行用のモジュールは4個の車輪と出力60kWのモーター、容量15kWの電池を備える。部品構成は確かにEVである。