ブランドも見た目も違うが、実は中身は同じ——。そんなクルマが増えている。これは、自動車メーカーが「モジュールアーキテクチャー」と呼ばれる開発手法を導入しているからだ。車両開発と生産にかかるコストと時間を大幅に削減することが目的。「ジュネーブモーターショー2017」の会場には、多くの車両が“成果物”として並んでいた(図1)。

図1 ジュネーブモーターショー2017の会場の様子。Peugeot社のブース
図1 ジュネーブモーターショー2017の会場の様子。Peugeot社のブース
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 「クルマを構成するほとんどの部品をモジュール化し、(欧州基準の)A0〜Dセグメントまで幅広い車格の車両で部品を共通化する」。こうした思想を掲げ、ドイツVolkswagen(VW)グループが「MQB(横置きエンジン車用モジュールマトリックス)」を車両に適用し始めたのは2012年のことだった。

 狙いは、同じプラットフォーム(車体)や部品を多くの派生車に適用することで、コストを抑えつつ素早く顧客ニーズに合わせて提供していくことだ。それを実現するため、モジュールアーキテクチャーであるMQBの導入を決めた。

図2 VWグループのモジュールプラットフォーム戦略。図は「日経Automotive」の2015年7月号から
図2 VWグループのモジュールプラットフォーム戦略。図は「日経Automotive」の2015年7月号から
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 VWグループはMQBを、「VW」「Audi」「Skoda」「Seat」の4ブランドに適用できるように開発(図2)。VW社「ゴルフ」やドイツAudi社「A3」を始めとする欧州基準のBセグメント以上の車両には展開が進んでいた。小型のAセグメント車の取り組みが遅れていたが、今回の「ジュネーブモーターショー2017」でピースがようやく埋まった。