燃費だけではつまらない——。エンジンにモーターや電池を組み合わせるハイブリッド車(HEV)。燃費低減やCO2削減に向けた技術だが、欧州の自動車メーカーを中心に付加価値の提供手段としての期待が高まってきた。モーターの使いこなしが、新たな競争軸になりそうだ。
「欧州市場でHEVの販売が急速に伸びている。2016年のHEVの販売台数は、前年に比べて40%も増えた。当社が販売する車両の1/3がHEVになった」。
トヨタ自動車のHEVが、欧州市場でじわり浸透してきた。同社の欧州法人Toyota Motor Europe(TME)社でPresident and CEO(最高経営責任者)を務めるJohan Van氏は手応えを口にした(図1)。
HEVの訴求点をずらす欧州勢
2016年、トヨタは欧州市場では92万8000台のクルマを売った。このうち、約30万台がHEVということになる。「オーリス」や「Yaris(日本名:ヴィッツ)」など小型車を中心にHEVを用意し、環境性能をアピールしてきた(図2)。
このように欧州でも市民権を得つつあるHEV。今回のジュネーブモーターショーでは欧州の自動車メーカーも幾つか新型車を発表している。だが、HEVの訴求ポイントはトヨタが推す燃費低減やCO2削減とは違うところにあった。