マーケット考察
目次
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欧州RE100企業が始めた新しい再エネの買い方
FIT脱却を可能にする「コーポレートPPA」という新手法
ESG投資の広がりとともに再エネ電力へのニーズが高まっているが、企業からは「再エネ電力が足りない」「FIT電気はわかりにくい」といった声が聞こえてくる。こうした企業ニーズとFIT脱却を目指す政府、双方のニーズを満たす手法が海外には存在する。みんな電力の三宅成也・専務取締役事業本部長に解説してもらった…
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海外でも死屍累々、VPPビジネスを収益化するポイントは?
VPPビジネス最前線(後編)
欧米では新たなエネルギービジネスに商機を見て、VPP(仮想発電所:Virtual Power Plant)事業への新規参入が相次いでいる。だが、現時点では利益を確保できている事業者は皆無に近い。VPPビジネスの収益化のポイントはどこにあるのか。海外市場に詳しいアビームコンサルティングの山本英夫ダイ…
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導入から7年、2つの制度欠陥に翻弄されたFIT
主力電源化に向け課題解決はできるのか
政府は再エネの主力電源化を掲げるも、需要家にはFITが法の趣旨に沿った運用にはなっておらず、国民負担ばかりが膨らんでいるという危機意識がある。FIT導入からの7年を、需要家を代表して日本製鉄のシンクタンクである日鉄総研取締役であり日本経済団体連合会資源・エネルギー対策委員会企画部会長代行を務める小野…
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電気料金は使い勝手の良い財布? 高まる値上げ圧力
強まる連系線増強論、本命は原発解体処分費の上振れ分
経済産業省が電気料金を介した国民負担の議論を内々に始めている。まずはレジリエンス強化や再生可能エネルギー導入を名目とした地域間連系線の増強費用だ。いずれ廃炉費用の積立不足も表面化しそう。これらは、本来誰が負担すべきかの議論と説明が欠かせない。
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欧州と米国でまったく違う「VPPビジネス」の中身
VPPビジネス最前線(前編)
エネルギー業界にはいくつかのバズワードがあるが、そのうちの1つは間違いなく「VPP」だろう。日本でもVPPに関する実証事業などが数多く実施されており、新たなビジネルモデルとして期待されている。ただ、一言でVPPといっても、中身は様々で分かりにくい。そこで、海外のエネルギー市場に精通しているアビームコ…
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ブラックアウトなしでも北電の財務は危険水域だ
泊原発再稼働だけでは成長ストーリーは描けない
今年9月に発生した北海道ブラックアウト(全域停電)。電力広域的運営推進機関の検証委員会は12月12日、発生要因と再発防止策を書き込んだ最終報告書案を了承した。検証過程では、原因究明とともに、北海道電力が復旧に向け尽力していた姿も浮かび上がった。ただ、北電の財務状況は非常に厳しい状況にある。
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「電気版Uber」は七面倒臭い
話題のP2P電力取引を現行制度でやろうとすると・・
にわかにブームとなっている電力のP2P取引。実現技術の1つであるブロックチェーンへの関心も高い。ただ、現状の電気事業制度の下でビジネス展開しようとすると、驚くほど面倒な作業が発生する。国内外のP2P電力取引に詳しい大串康彦・エポカ代表取締役に解説してもらった。
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今から新電力に新規参入しても勝つ道はある
ポイントは「大局観」×「リーンスタートアップ」
電力市場価格の変動に、大手電力の営業攻勢。新電力事業は難しさを増しているように見える。だが、変化の大きな時代だからこそ、過去にとらわれずにマーケットに向き合うことで思わぬ勝機が見えてくるものだ。ビジネスデザイン研究所の久保欣也氏に、変化の時代を勝ち抜く方策を解説してもらった。
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「電力ベンチャー四天王」の栄枯盛衰が語るもの
エネルギーベンチャーの歴史に学ぶ
かつてエネルギー業界に「電力ベンチャー四天王」と呼ばれた経営者がいたことをご存知だろうか。2000年代前半に登場した黎明期のエネルギーベンチャーの中でも、とりわけ注目を集めた4人の創業経営者のことだ。
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RE100はどうする? 再エネ電気が買えない現実
太陽光の電気はどこへ、カギは「電源のトラッキング」
国内外で「RE100」への関心が急速に高まり、再生可能エネルギーによる電気(再エネ電気)を選ぶ企業が増加している。だが、日本企業には深い悩みがある。電力全面自由化以降、再エネに注力してきた新電力ベンチャー、みんな電力の三宅成也取締役に解説してもらった。
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大手電力は自由化で“JR”になれるか
カギは事業多角化とバランスシートの整理にある
JR各社と大手電力は、本業の規制事業が自由化されるという点で共通している。JRの鉄道事業の成長性は期待しにくいが、不動産賃貸業や小売業といった多角化によって高収益企業として資本市場から高い評価を受けている。大手電力が自由化を経て、成長企業となるためのヒントがJR各社に詰まっている。
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大手電力が“役所的”になったのは必然だった
エクイティー投資家にとって魅力的でなかった電力株のこれから
「役所的でビジネスマインドが感じられない」。大手電力に対して、こうした批判の声を聞くことは少なくない。確かにそういう面はあるが、単純には大手電力を責められない。一般に、企業の財務のあり方が事業方針を決めると言われる。しかし大手電力の歴史を振り返ると、通常とは逆に電気事業の仕組みが財務のあり方を決めて…
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大手電力の資金調達に潜む時限爆弾
低利の社債発行に頼る大手電力は2025年までに「普通の会社」になれるのか?
大手電力の経営を安定化させてきた一般担保付社債は2025年をめどに発行できなくなる。いよいよ大手電力は資金調達面でも「普通の会社」になるわけだ。しかし、依然として大手電力の資金調達方法に変化の兆しは見えない。社債市場と大手電力の経営問題に精通するアジアエネルギー研究所の廣瀬和貞代表に解説してもらった…
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復活期に突入するエネルギーベンチャー
構造変化とスマメ普及で新ビジネスは動き出す
電力全面自由化の恩恵を消費者が受けるためには、多様なプレーヤーの存在が欠かせない。日本のエネルギーベンチャーはこれまで外的要因に振り回されてきたが、電力・ガス全面自由化を契機に大きく動き出しそうな気配が出てきた。
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東電PG、インバランス収支409億円赤字の衝撃
「余剰インバランス問題」のインパクト
前回の当コラム「決算分析で見えた、東電・安値攻勢の秘密」で、東京電力エナジーパートナー(EP)が大量の「余剰インバランス」で収益を上げている可能性を指摘した。政府もこの問題の精査に乗り出す。今回は、東京電力パワーグリッド(PG)の「インバランス収支計算書」から、そのインパクトに迫った。
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決算分析で見えた、東電・安値攻勢の秘密
グループ内取引を専門家が徹底解説
東京電力グループの小売部門である東京電力エナジーパートナー(EP)が全面自由化以降、大口需要家を対象に安値攻勢を続けている。東電グループの決算情報などからグループ内の収益構造を分析してみると、東電の意外な姿が浮かび上がってきた。
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基幹事業の売却も、東電・再建計画の本気度
新たな再建計画とJERAの配当ルールを読み解く
東京電力ホールディングスは6月23日の株主総会で経営陣を一新。日立製作所の川村隆名誉会長が会長に、小売部門の東電エナジーパートナー(EP)社長を努めていた小早川智明氏が社長に就任した。東電は新体制の下、アライアンスを軸とした成長路線を進む構えだ。長らく垂直統合型の事業モデルを守ってきた東電は、どこま…
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東電はパートナーとして「安全」か?
アライアンス企業から見た「福島リスク」の読み解き方
アライアンスにおいて、パートナー企業の影響で資金調達に必要な「信用力」が低下することはあるだろうか。福島第1原子力発電所事故で経営危機に陥った東京電力グループは、再建計画の最重要施策として他社とのアライアンスを掲げる。だが、アライアンス相手から見たとき、東電との提携にリスクはないのか。格付け会社ムー…
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東電が7年ぶりの社債、異例の発行に絡む思惑
廃炉や賠償費用は倍増、それでも投資家を殺到させた運用難
福島第1原子力発電所事故から丸6年。東京電力グループが、悲願であった社債市場への復帰を果たした。今回の起債プロセスは“普通”ではない。格付け会社ムーディーズで電力業界を担当した経験をもつアジアエネルギー研究所の廣瀬和貞代表に読み解いてもらう。