事業提携は電力業界の再編に繋がるか

 東電と燃料・火力発電事業で既存設備の統合にまで踏み込んだ中部電は、一方で送配電事業において、関西電力・北陸電力と提携すると6月2日に発表している。3社の送配電設備が混在している地域での設備形成の最適化や、広域メリットオーダーによる需給調整の効率化を進める計画である。

 また、原子力発電事業においては、災害対応、安全技術開発、廃炉事業などに関して、2社から5社にわたる、いくつもの事業提携が既に合意されている。原発を持つ大手電力9社全てが、少なくとも1つの提携に参加しており、提携業務の内容により異なる相手と組んでいる例もある。

 これらの事業提携の中には、電力システム改革を先取りするかたちで進展する東電と中部電による燃料・火力発電事業の共同事業化に触発されたものもあるだろう。事業提携が資本提携へと発展し、業界地図自体を変える再編に繋がるタイミングがいつ来るのか。今後の提携の進展を注目したい。

廣瀬和貞(ひろせ・かずさだ)
アジアエネルギー研究所代表
東京大学法学部卒、日本興業銀行、ムーディーズを経て現職。デューク大学MBA、日本証券アナリスト協会検定会員、経済産業省調査会委員
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