あらゆるデータが「めちゃくちゃ」に

 小売電気事業者(新電力)および発電事業者の大半が、全面自由化当初から業界を混乱させる当事者になった。新たな「計画値同時同量制度」の導入に伴い小売電気事業者が作成する需要調達計画と、発電事業者による発電販売計画のデータがめちゃくちゃだった。

 そのため本来ならぴったり一致するはずの双方の計画に不整合が続出。コードの誤入力や販売・調達する電力の容量に誤りが内在する計画を広域機関に提出した事業者の数はピーク時、160社のうち7割ほどに達した。

 この影響で、計画を取りまとめる広域機関は日々、電話やメールで事業者に修正依頼する作業に追われた。さらに、インバランス料金を概算するのに使う係数の公表遅れを招いた。

 データにまつわるトラブルは、既存の大手電力でも次々と火を噴いた。四国電力は4月、使用電力量の算出に必要な電気メーターの検針結果を喪失したことを発表。検針に用いるハンディーターミナルや検針結果を管理するITシステムの操作ミスのほか、同システムで発生した不具合により、合計1500件超のデータが事実上、消えた。

 加えて、新料金メニューの導入に際して実施したプログラムの改修を誤り、従来の規制料金の最低使用量11kWhを二重加算した電気料金払込票を作成して発送してしまった。誤印字した払込票の発送先は、電気料金の振込払いを指定している従量電灯Aの契約者1万7000件を超えた。

 6月には東電PGが、「託送業務システム」のトラブルを明らかにした。スマートメーターと旧型メーターの検針結果を託送業務システムに取り込めず、使用電力量の確定値を小売電気事業者に通知する処理に遅れが発生。4月に出始めた通知遅延の件数は、5月末の段階で1万1000件弱に拡大した。

 検針結果を管理するデータベースから、託送契約の管理や料金計算に用いる機能へデータを取り込む処理にも不具合があり、5月末時点で約1万8000件の通知遅れにつながった。