オープンユーティリティーは、電力市場向けP2Pシステムを開発するベンチャーとして2013年に設立された。同社が開発したP2Pプラットフォームは、英国南西端のコーンウォール州に建設された環境配慮型複合施設「エデン・プロジェクト(Eden Project)」における電力の自家消費の実証実験に用いられた。

 6カ月間の実証の結果、情報の見える化に優れている点などが評価されて、今回のグッドエナジーによる採用につながったという。

託送料金の引き下げも視野

 グッドエナジーによると現在、約5000事業者が新サービスを利用しており、将来的にはすべての電力メニューで需要家が発電所を選べるようにしたいとしている。需要家が自分の地域の再エネを使いたいというニーズに応えることで顧客満足度を高め、新規顧客の獲得と囲い込みを目指す。

 現時点では事業所などの大口需要家を対象としているが、今後は住宅向けにも発電所の選択が可能なメニューを広げる。まず、スコットランドでスタートさせる予定だ。ここでもオープンユーティリティーのP2Pプラットフォームを採用する。

 一方、オープンユーティリティーはグッドエナジー以外の電気事業者にもP2Pプラットフォームを展開していく。これまで、イタリアの発電事業者向けで成約事例があるという。この発電事業者は小売電気事業者を介さず、直接、需要家に電力を販売するために同社のプラットフォームを活用する。

 オープンユーティリティーは、託送料金(送配電網の利用料)を送配電の距離に応じて課金する方式に見直すことを当局に提案している。需要家が地元や近隣の再エネを優先的に利用するようになれば、送配電網の維持、更新にもメリットがあるという理由からだ。

 実際、エデン・プロジェクトにおける実証の結果では、スタート当初の2015年10月には域内全体の使用電力量うち48.8%が同プラットフォームを通じて取引され、送配電網の平均使用距離は51.4マイル(82.7km)だった。それが、2016年3月には85.6%に増え、送配電網の平均使用距離は35.8マイル(57.6km)に縮まった。その分、送配電網の負担は減ったと考えることが可能だ。