【質問2】先物取引はデリバティブ取引に当たるため、商品先物取引法の改正が必要だったことは分かりました。そもそも「デリバティブ取引」とは何なのでしょうか。

【回答2】デリバティブ(derivative)という英語は「派生的な」という意味を持っており、「派生商品」のことを指します。株式や債券、金利、為替、コモディティ(穀物や金属などの商品)などの伝統的な取引から派生した取引手法、という意味です。

 デリバティブ取引には、「先物取引」と「スワップ取引」「オプション取引」の3つの手法があり、将来に向けたリスクをヘッジしたり、投資目的で利用します。

 まず、先物取引は、取引するモノ(原資産)の将来の価格をあらかじめ決めておき、期日が来た時点で売買を行う方法です。事前に価格を決めておくことで、価格変動リスクを回避できます。

 スワップ取引は、将来に発生する金利などのキャッシュフローを取引の当事者間で交換することを言います。例えば、金利スワップの場合には、同じ通貨で固定金利と変動金利を交換したり、異なる通貨間での金利を交換するものであり、将来における金利の上昇・低下リスクをヘッジするために利用します。そして、オプション取引とは、先物取引やスワップ取引に条件をつける仕組みのことを言います。

 先物取引は、あらかじめ取引期間を決めておき、最終取引日までは自由に転売や買い戻しを行い、取引価格の相殺や差金決済を行うことで、価格変動リスクを最小限にすることが可能となります。他方、先渡取引は、転売や買戻しなどによる差金決済が可能な場合を除き、原則として、差金決済ではなく、将来のある時に現物の受け渡し(現物取引)を前提とするものですので、デリバティブ取引とは区別されます。

デリバティブ取引には参入規制や行為規制がある

 デリバティブ取引では、原資産の取引価格の変動が財務上のリスクになるおそれがあるため、法律の規制が課されています。原資産が「金融資産」の場合は「金融商品取引法」が、原資産が「商品」の場合は「商品先物取引法」が適用されます。取引市場の開設者の制限や、販売などを手がける事業者の参入規制や行為規制などが定められています。

 また、デリバティブ取引は、その商品が取引所に上場されているかどうかで、「上場デリバティブ」と「店頭デリバティブ」に分類されます。例えば、デリバティブ商品が上場されている代表的な取引所は、東京商品取引所です。