マイニングの収支は電気料金が左右する

 ビットコインなどの仮想通貨は、銀行などを経由せずP2P(ピア・ツー・ピア)で取引を行う。暗号技術やブロックチェーンなどを使うことで不正を防ぎ、取引の信用を確保している。ブロックチェーンとは、すべての取引履歴を記録したもので、取引に関わるすべてのコンピュータで共有している。

 そして、取引を記録するためのブロックを生成する作業を「マイニング」と呼ぶ。ブロックチェーンは膨大なコンピュータ処理が必要なため、インターネットにつながる有志のコンピュータリソースをかき集め、分散処理している。自分のコンピュータで計算処理をすると、報酬として、新規発行した仮想通貨を得られる仕組みだ。

 マイニングで仮想通貨をより多く得るために、高性能なマイニング専用マシンに投資して計算処理を行う。つまり、マシンへの初期投資とランニングコストの電気代が、マイニングの収支を左右するわけだ。

 このため、マイニングに特化した専用マシンが登場、高性能化が進んでいる。専用マシンをズラリと並べ、大規模にマイニングを手がける事業者は、電気料金の安い中国などに集中している。

 電気料金が高い日本はマイニングの適地ではないと言われる。ただ、今後、仮想通貨の価値が上昇すれば、日本でのマイニングもやりようが出てくる。大規模なマイニングは多額の投資が必要なため、事業化は一部の企業に限られる。だが、個人なども含めて共同でマイニングを行う方法などもある。

 Looopのマイニングフラットは、マイニングでコンピュータをフル稼働させる、低圧ながら高負荷な需要家を想定したプランだ。小嶋本部長は、「100%に近い高負荷をイメージしている。電気料金が高額になる心配を少しでも減らそうと、22円/kWhにした。月額最低料金を設定することで、当社が提供可能なプランに設計した」と説明する。

 低圧の電気を使ってマイニングを手がける需要家は、さほど多くはないだろう。小嶋本部長も、「ニッチな料金プランで、契約数が大きく伸びるとは思っていない」と言う。だが、「新しいテクノロジーを支援するのが当社らしいと考えた」。