話を今回の申し込み受付停止に戻そう。

 4月時点で管理物件への新たな入居者からの受け付けを中止。そして、8月31日をもって、既に管理物件に入居している世帯からの受け付けも中止した。「3月の営業による申し込み手続きの未完了分を精査していたが、8月をもって、ほぼすべてのお客様の手続きが完了したと判断できたため、4月の新規受け付けと同様の理由で停止した」(大東エナジー)。

 今後の受け付け再開については未定だという。

全国平均より少ない使用電力量がボディブローに?

 「大東エナジーはパートナー企業を探しており、新電力大手などと協議している」と、ある新電力幹部は明かす。「顧客数は非常に多いが、使用電力量が少ない世帯が多い。トータルでの電力販売量は低圧分野を手がける新電力の中でもかなり多い方だが、管理の手間がかかり、利益率が決して高くないのが難点」とこの幹部は続けた。

 日経エネルギーNext 2016年10月号によると、「いい部屋でんき」の契約世帯の平均的な月間使用電力量は250kWh。これは、全国平均の300kWhを下回る。多くの新電力が、使用電力量が多く、利益率の高い世帯を狙い撃ちする“クリームスキミング戦略”を取っていることを考えると、大東エナジーの電気事業単体での収益性は相対的に低いとみられる。

 ただし、大東エナジーの場合、不動産仲介業者が賃貸契約時に新規獲得の営業を行うため、営業費用は非常に安価といわれる。しかも、電気料金の請求も、家賃と一緒にグループ会社の大東建託パートナーズが行うため、コストを圧縮できる。この事業モデルこそが大東エナジーの強みであり、ここまで急速に契約数を増やした原動力だった。

 かねて「賃貸物件の付加価値を高めることが狙いなので薄利多売でいく」としていた大東エナジー。日経エネルギーNextの取材に対して、「事業譲渡は検討していない」と回答している。

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