中国スマホが急成長、日本の15倍の市場規模

 半導体業界に大活況には別の要因もあります。中国メーカーのスマートフォン(中国スマホ)の急成長です。中国メーカーは現在、1カ月に約4500万台のスマホを製造しています。日本のスマホ市場はせいぜい月間300万台ですから15倍の規模です。中国スマホの規模がいかに大きいかが分かります。

 Samsung Electronics社のスマホ「Galaxy Note 7」の発火事故の影響によって、同社のスマホの販売が落ち込んでいるのですが、そこをついたような形で、中国メーカーの「OPPO」と「Vivo」が飛躍的に伸びました。全世界のスマホ市場全体のうち40%を、中国スマホトップ10企業で占めるようになりました。「Huawei」「OPPO」「Vivo」のトップ3だけでも約22%を占めます。いかに、この3社のスマホ事業が大きくなったかが分かります。

 2月27日から開催されたスマホなどモバイル関連の見本市「Mobile World Congress 」。半導体産業から見た今年の最大のポイントは有機ELパネルを採用したスマホの急伸でした。有機ELパネルの需要は、昨年(2016年)は3億5000万台でした。今年(2017年)は5億台くらいです。そのうち、韓国Samsung Display社が供給できる有機ELパネルは、今年は5億4000万台。スマホ用に限ると5億2000万台です。Samsung Electronics社が自社向けの使うパネルは3億台で、Apple社が使うパネルが1億台、中国のVivoとOPPOを合わせると1億台。このような状況になっています。

 Samsung Electronics社のスマホの売れ行きが悪くなると、中国のVivoとOPPOが有機ELパネルを調達しにきます。VivoやOPPOが新機種を出そうというときに、本来はLTPS液晶パネルを購入する予定だったところが、余剰になったSamsung Display社の有機ELパネルを調達する話に変わったりします。調達の主役となるプレーヤーが交代し、新プレーヤーが主導権を握る動きが、あちらこちらの顕在化しているのです。

(明日に続く)

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記事掲載当初、小見出し「中国スマホが急成長、日本の15倍の市場規模の下の段落で「日本のスマホ市場はせいぜい年間300万台ですから」とありましたが、正しくは「日本のスマホ市場はせいぜい月間300万台ですから」でした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。