時価総額350兆円、「SNS 7社」が投資を牽引

 半導体投資の担い手も大きく変わってきました。これまでの主役は通信関連の企業でしたが、通信関連企業はリーマン・ショック前に比べて時価総額が減っています。

  その一方で台頭しているのが、「SNS関連企業」です。SNS関連7社とは、私が定義した企業群で、具体的にはApple社、Alphabet(Google)社、米Microsoft社、米Amazon.com社、米Facebook社、中国Alibaba Group Holding社、中国Tencent Holdings社の7社を指します。この7社の設備投資は通信関連企業と肩を並べる規模になってきています。

 7社は利益も出しており、利益に基づいて投資をしています。そして、SNS関連7社は設備投資を上回る金額を、研究開発に投資しています。半導体、サーバー、クラウドなどへの開発投資が増えているのです。

 半導体投資はかつて、Intel社に投資が集中していましたが、現在は投資の担い手が多岐にわたってます。その代表例がスマホメーカーでありながら半導体の開発部門を抱えるApple社です。そのApple社よりも大規模な研究開発投資を、Alphabet(Google)社と米Microsoft社が行っています。さらにもっと大きな開発投資をしているのがAmazon.com社です。1四半期で約5000億円を投資しています。

 SNS関連7社の時価総額合計は約350兆円です。日本企業の全時価総額が約500兆円なので、日本全体の7割にあたる莫大な規模になります。Apple社の時価総額は80兆円です。日本企業は、ソニーでさえ先述のように約4兆円です。日本企業が束になっても、どうにもならないような規模の資金を米国のSNS大手企業は持っています。この資金が、半導体産業にも投資されるわけです。

 しかも、米国のSNS大手企業は、13兆円の利益を出しながら、4兆円の投資をしている状況です。全然余裕があり、まだまだ投資余力を残しています。

SNS7社と米国通信4社の設備投資額、研究開発費、営業利益(四半期)の推移
SNS7社と米国通信4社の設備投資額、研究開発費、営業利益(四半期)の推移
出所:各社資料より東海東京調査センターが作成
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