2016年度診療報酬改定では、情報通信技術(ICT)を活用した医療連携や医療データの収集・利活用に関する複数の項目が新たに盛り込まれた(関連記事)。その一つが、電子お薬手帳だ。具体的には、調剤薬局が請求する「薬剤服用歴管理指導料」に関し、紙媒体のお薬手帳と同等の機能を持つ場合には電子お薬手帳も算定対象になったのである。

 ただし、条件が幾つか示されている。「他の薬局や医療機関、患者などが容易に手帳の内容を閲覧・入力でき、紙媒体に出力できること」「医療スタッフが患者のスマートフォンなどの機器を直接受けとることなく情報を閲覧できる仕組みを持つこと」「複数のサービス事業者が提供している電子お薬手帳の情報を一元的に閲覧できること」などである。

 このうち「複数のサービス事業者が提供している電子お薬手帳の情報を一元的に閲覧できること」の条件に対応する環境を提供しているのが、日本薬剤師会による電子お薬手帳相互閲覧サービスである。

24の電子お薬手帳に対応

 電子お薬手帳相互閲覧サービスは、端的に言えば、患者(利用者)がどの電子お薬手帳を利用していても、すべての薬局が一元的に患者の薬歴を閲覧できるようにするもの。2016年4月の診療報酬改定とともに提供を開始した。

 開始当初に比べ、対応する電子お薬手帳の種類は増えてきており、2017年2月現在で20組織が提供する24種類の電子お薬手帳の情報が一元的に閲覧できるようになっている(表1)。システム的には、電子お薬手帳相互閲覧サービスのサーバーに、各電子お薬手帳のデータ保存先サーバーが接続。同月現在では、データ保存先サーバーを運営する13事業者が接続している。

表1 日本薬剤師会の電子お薬手帳相互閲覧サービスに対応する電子お薬手帳(表:日本薬剤師会の資料を基に本誌が作成)
表1 日本薬剤師会の電子お薬手帳相互閲覧サービスに対応する電子お薬手帳(表:日本薬剤師会の資料を基に本誌が作成)
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 なお、電子お薬手帳相互閲覧サービスの運営費用は、電子お薬手帳のデータ保存先サーバー運営事業者が日本薬剤師会に一定額を支払うことで賄われている。