社会を構成するあらゆる要素が医療を担う場となる「ソーシャルホスピタル」。新たな医療のカタチを実現するカギを握るのは、社会や個人との密接な接点を持ち、かつ医療との橋渡しができる「薬局」の役割の再定義だ。

 急速に進む高齢化率の上昇や医療費の高騰、そして生活習慣病の増加や医師の不足・偏在…。これら山積する課題が、病院完結型医療からの脱却を必要としている。こうした中で、進むべき次世代の医療の方向性が、社会を構成するあらゆる要素が医療を担う場となる「ソーシャルホスピタル」である(図1)。

図1 医療の中心地は「社会」へ(右上のイラスト:楠本礼子)
図1 医療の中心地は「社会」へ(右上のイラスト:楠本礼子)
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 ソーシャルホスピタルへの移行を可能にしているのは、ICT(情報通信技術)をはじめとする急速な技術の進歩だ。センサーが日常に大量にばらまかれ、それらがネットワークにつながる。人工知能(AI)やロボットは、従来の人間の仕事の一部をサポートするようになる。そして、個人は手元に持つスマートフォンを通してあらゆる情報にアクセスできる。こうした技術の波が医療の分野に波及するのも、もはや時間の問題といえる。