小谷氏 トヨタ工業学園というのは、お祖父様の豊田喜一郎さんがお作りになった学校ですよね。トヨタ自動車の創業とほぼ同時に学校を立ち上げたということですか。
豊田氏 当時のトヨタグループというのは、織機業と紡織業がメインストリームでした。そういう時代においてグループ各社が自動車という、当時でいえばベンチャーに舵を切ったわけです。織機業と紡織業で評価されていた企業が、急にベンチャーとして自動車を始めたからといってうまくはいきません。そこで、人づくりから始めたのではないかな、と思います。
会社を実際に牽引するのは数多くのリーダーズ
私もこういう立場になりますと、結局、大切なのは人なのだと実感します。組織を変えることがソリューションになるわけではなく、結局、その組織を誰がリードするかの方が大切なのです。
しかも、1人のリーダーだけでは無理です。より現場に近いところ、より商品に近いところにいるリーダーたち、つまり「リーダーズ」が会社を引っ張っていくわけです。社長の役割は責任を取ることであって、実際に会社を牽引していくのは数多くのリーダーズ――個々の人です。これは創業のときもそうだし、80年経った今でもそこは変わらないと私は理解しています。
小谷氏 今回、トヨタ工業学園の取材では私、感動して帰ってきました。10代でありながら自分を厳しく律して、信念をもってトヨタという会社を支えていく人材になる。ここに行き着く人づくりはものすごいですね。