• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

お薦めトピック

「とりあえず睡眠薬」はもう終わり(page 2)

“眠り”を誘うデジタルヘルス・ソリューションが続々

2017/05/15 08:30
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス

(1)患者向けソリューション
睡眠薬代替アプリから鼻腔挿入デバイスまで

 患者向けソリューションのうち、(a)の睡眠薬の代わりに医師が患者に処方することを想定したスマートフォンアプリが、サスメドが手掛ける「yawn」だ。2016年秋から臨床試験を実施しており、2017年度中の治験開始、2020年に医療機器として提供することを目指している。

認知行動療法を処方アプリで

サスメド 代表取締役で医師の上野太郎氏
クリックすると拡大した画像が開きます
 睡眠薬の代替を提案する狙いについて、サスメド 代表取締役で医師の上野太郎氏は「睡眠薬が有効な患者は限られており、効果があっても再発する恐れがあるため」と語る。現在日本では、500万人以上の人が睡眠薬を服用しており、人口当たりの睡眠薬処方量は他の先進国に比べて格段に多い。しかし、服用するうちに耐性ができて徐々に効かなくなったり、患者が依存してしまったりする恐れもあるという。

 そこで目を付けたのが、認知の歪み(心身にストレスを与える思考パターン)のある人の不安や強迫観念を取り除く「認知行動療法」である。不眠症に対する有用性は10年以上前に示されており、「米国では不眠治療の第一選択になっている。睡眠薬よりも優れた治療効果が見られる」と上野氏は話す。この認知行動療法を実装したスマートフォンアプリが、yawnというわけだ。

 yawnを使った治療の流れは次のように想定しているという。まず、病院で不眠症の診断を下した医師が患者にアプリを処方する。患者はアプリのチャット画面に日々の睡眠の情報を入力する。すると、チャット上でアルゴリズム化された会話が始まり、画面を通じて患者に認知行動療法を施す。

「yawn」画面イメージ(画像提供:サスメド)
クリックすると拡大した画像が開きます

 例えば、仕事に関することを布団に入ってからも考え目が冴えてしまう患者には、「寝る直前ではなく夕方など早い時間にストレスとなる問題を書きだす作業をさせるようチャットを通じて働きかける」(上野氏)。そうすることで、今日は十分その問題について取り組んだという満足感が得られ、布団に入って考え事をするという悪循環を断ち切ることができるというわけだ。

 今回、認知行動療法をアプリに実装したのは、日本の臨床現場では「認知行動療法を“対面”で行うことが現実的には難しいため」と上野氏は話す。もし対面で認知行動療法を行うことになれば、1、2週間に一度、30分間の治療を8週間にわたって行う必要があるという。1人の医師が30分に1人の患者しか診れないと病院の経営を悪化させる懸念があるため、「現状では睡眠薬に頼る医療を行わざるを得ない」(上野氏)のが実態だ。

「yawn」画面イメージ(画像提供:サスメド)
クリックすると拡大した画像が開きます
 今回のアプリは、“医師が処方する”ことを重視する。これは、認知行動療法によって「患者の生活リズムが一変することでリスクが伴うため、医師の監督が必要だから」と上野氏は述べる。例えば、治療開始後3週間程度は日中の眠気が強まる傾向にあり、この期間は交通事故のリスクが高まるなどの恐れがあるという。

 なお、現在実施している臨床試験では、プラセボ試験を行っていることも興味深い(関連記事)。認知行動療法を実装していない“プラセボアプリ”なるものを作り、今回のアプリとプラセボアプリのどちらかを患者に処方してその効果を比較している。これは、「病院に行って医師の監督を受けたということや講演やコンサルタントを受けたという事実に安心し、眠れるという事例も多くあることを考慮した」と上野氏は話す。

日経デジタルヘルス Special

記事ランキング