そこで日経テクノロジーオンラインでは様々な分野の識者のみなさんに、それぞれが期待する「Nintendo Switch」を語ってもらうことにした。トップバッターはユーザーインタフェースの設計を手掛けるソフトディバイスの野々山 正章さんだ。
最初に、Nintendo Switch(以下、Switch)のコンセプトムービーをご覧いただきたい。通して見てどんな風に感じるでしょうか?
私はUI(ユーザーインタフェース)のデザイナーとして、普段は製品やサービスのUX(ユーザー体験)を分析・研究して、UIを設計する仕事をしているのですが、Switchのコンセプトムービーを初めて見たときに、正直に言って違和感を覚えました。気付いた点は2つあります。
1つめの違和感は登場するユーザーの年齢層です。私と同年代と思われる20代から30代の若者ばかりがなぜか登場します。
確かに購買層はこの世代が中心になるのでしょう。ですが、例えば大ヒットした「Wii」のコンセプトムービーでは、様々な世代の人たちが登場して、このゲーム機が「誰もができるゲーム」を指向していると示していたはずです。今回はなぜ若者しか出てこないのでしょうか。
なぜ若者だけがムービーに出てくるのか
もう1つ、違和感を感じたのはムービーの後半、外のテラスでパーティーをしている友人のところにSwitchを持って行き、友達と一緒にプレーし始めるシーンです。
その人は最初部屋にいて、窓の外から友人に呼びかけられて、そこに出向きます。でもその際になぜかわざわざSwitchを持って行くのです。そんなユーザーの意志に違和感を覚えました。都合のいいユーザーの意思に支えられた、出来すぎたユーザーストーリーを感じてしまったのです。ゲーム側からの積極的な仕掛けもないのに、本当にこんなことが起こるのかなという違和感です。