白井 暁彦(しらい・あきひこ)
白井 暁彦(しらい・あきひこ)
神奈川工科大学 准教授、VRエンタテイメントシステム研究者○1992年 東京工芸大学 写真工学科卒業、96年 同大学院画像工学専攻卒業。キヤノンに就職。グループ企業の英ゲーム関連企業Criterionを経て2001年から東工大総合理工学研究科。04年に博士(工学)取得。NHK‐ES、フランスLavalでのVRによる地域振興、日本科学未来館科学コミュニケーターを経て、現職。

 いよいよ3月3日の発売が迫った「Nintendo Switch(以下、Switch)」。しかしネットなどでは「SwitchにはXXがない!だからダメだ」といったネガティブな意見をよく耳にします。そうですよね。「Wii U」など過去の任天堂ハードのゲームをプレーできる後方互換性もないし、いま流行のVRサポートもありません。

 でも本当にダメなのでしょうか?

 発売前のゲーム機ですから一般の人のほとんどはまだ触っていません。例外はゲームの開発者ですが、彼らは「守秘義務」があり、知っていても何も言えません。だから本当のところはまだ分かりません。

 あらかじめ宣言しておきます。これから書くお話は100%、筆者の臆測です。しかしただの臆測ではありません。ちょっとした未来予測を込めたSFとして書いています。筆者が2006年に「Wiiリモコン」と出会い、2009年に書籍「WiiRemoteプログラミング」(オーム社)を上梓したとき、家庭用ゲーム機「Wii」に対する世間の当初の印象と、プロダクトが本当に持っていた価値とはずいぶん違うと気付かされました。今回はそんなハッカー・開発者・教育者・エンタテイメントVRの研究者としての視点から、未来予測フィクションを書きます。題して「みんな気付いてない10の未来」です。

1.Switchは「テレビゲームの歴史にトドメを刺す」

 Switchの登場はテレビゲームの歴史を終焉させる、つまりゲーム的に言えば「トドメを刺す!」を私は期待しています。物騒な書き方かもしれませんが、いわゆる「テレビゲームのマーケットが縮小して…」という市場の話ではありません。

3つの利用モードを持ち、据置機でありながら携帯機の性格も備える「Nintendo Switch」
3つの利用モードを持ち、据置機でありながら携帯機の性格も備える「Nintendo Switch」
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