MRJの開発スタートは2003年ごろにさかのぼり、既に2007年ごろには販売活動が始まっていた。本格的にプロジェクトが加速し始めた2008年当時の予定では、初飛行は2012年夏頃とされていた。ところが2009年9月に主翼の材料を炭素繊維強化樹脂(CFRP)による複合材料からアルミニウム合金に変更した上、脚部の設計変更なども重なり、2011年10月になると、初飛行は2012年末にずれ込む見通しとなった。これが初飛行の延期として公表されたものの第1回目である。
旅客機の開発では、米Boeing社の「787」型機も3年以上遅れたというから、実績のない三菱航空機が、プロジェクト開始から3年足らずで開発予定の変更を迫られたとしても驚くには当たらない。その後も度重なる変更が続いているからといって、失敗と決めつけてみても、得られるものは少ないであろう。
前回に続き、MRJ事業化をプロジェクトとして捉え、その成功の条件を考えてみたい。