NZは北部の電力高値地帯で先行普及

 ニュージーランドでは、ソーラーパートナーズNZとYHIの2つの太陽光発電事業者のほか、同国最大の電力会社であるジェネシスエナジーがエンフェーズの蓄電池システムを発売すると発表した。

ニュージーランド電力最大手ジェネシスエナジー
ニュージーランド電力最大手ジェネシスエナジー

 ニュージーランドでは政府の法律としてFITが制定されておらず、各電力会社に買取価格は任されている。すでに電力会社による太陽光の買取価格はジェネシスエナジーの場合で5ニュージーランドセント(3.9円)/kWhという水準まで下がっており、自家消費の方が経済的なメリットを得られるケースが出始めている。

 ニュージーランド北島の北部地域は、水力発電などの電源が豊富な南島から離れているため、託送料金がかさみ、電気料金がとりわけ高い。オークランドより北部では30ニュージーランドセント(23.4円)/kWhにもなる。そのため、昼間の電力使用量が多い学校や病院などの施設を中心に太陽光パネルの設置が進んでいる。
 
 ジェネシスエナジーはこうした施設が太陽光で発電した電気の有効利用をさらに進める観点から、2016年、蓄電池システムの販売を始めた。同社がエンフェーズのシステムを選択したのは、「プラグ・アンド・プレイ(差し込むだけ)で簡単に使え、10年の寿命を保証した」(エンフェーズ)ことが大きいという。

「ネットメータリング制度」の見直しが後押し

 米国でも一部の州で電気料金が35セント(約39円)/kWhを超えるなど、太陽光発電の電気を蓄電して自家消費率を高めるメリットが顕在化してきた。米国で太陽光の普及を後押しした「ネットメータリング制度」(太陽光発電の余剰電力を小売価格で売電できる仕組み)の廃止や見直しも進んでいる。

 さらに一部の州では、電力のピーク需要を抑えるために、ピーク時の一定水準以上の需要に対して特別に課金する「デマンドチャージ」という料金メニューを家庭向けにも採用する動きがある。蓄電池を使ったピークカットのニーズが強まってきたことも追い風になっている。

 米国の電力会社として最初に家庭向けに蓄電池システムを売り出したのが、バーモント州のGMP(グリーンマウンテンパワー)である。