自動車照明へのLEDの導入が進んでいる。英Technavio社のレポートGlobal Automotive Lighting Market 2017-2021によれば、世界の自動車照明市場の規模は、2018年に304億ドルに達し2017年に比べて4.25%増となる見込みである(図1)。LEDの普及がこの成長に拍車をかけており、特にLEDベースの前方照明の採用が増加し、高輝度放電(HID:High Intensity Discharge)ランプや白熱(ハロゲン)灯を置き換えている。

図1●車載照明の世界市場推移(2016-2021年)。
図1●車載照明の世界市場推移(2016-2021年)。
Technavioのグラフ。
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 自動車エンジニアは、特定のLEDストリング(または個々のLED)を調光したり停止させて、光線の形状を変化させることにより、カーブや坂の上り/下りで運転する際に道路を適切に照らすことができるなど、HIDランプではできない優れた機能を組み込むことが可能になる。また、HIDよりもはるかに信頼性が高い(平均20倍の長寿命)。さらにHIDと比較して、LEDはエネルギー効率が高いことも重要である。これは自動車メーカーが燃費を大幅に改善できることを意味する。

 加えて、優れたフォルムを造り出せるようになる。すなわち、エネルギー効率が高いため、照明を小型フォームファクターに収めながら、標準的なHIDと同等またはそれ以上の光出力を供給できる。これはとりわけローエンド市場で移行が進む大きな理由であるとされている。コンパクトであることは、最近の車では車内スペースの制約が大きくなっていることへの対策にも役立つであろう。そして、LEDは採用している自動車メーカーが革新的であるという印象を与え、これが自動車の潜在的顧客の評価につながるであろうことも指摘しておく(これは無視できないことである)。これらの特性のすべてが魅力的なものとなっており、LED需要の増加がスケールメリットの拡大と単価の低下につながっている。需要が増加すると、Mooreの法則に良く似た原動力が働く。LEDの価格は下がり続けており、車載アプリケーションでの展開の機会がさらに拡大している。