人類の産業の発展は科学技術とコミュニケーションの革新が支えてきた。19世紀後半の産業革命では、蒸気動力の活用と印刷技術の登場で、新聞や雑誌が誕生し、印刷物を中心としたコミュニケーションが一般化した。情報が空間や時間を越えて広く伝えられるようになったのだ。20世紀前半には、電力の活用とともに電気通信技術が登場し、電信電話によるコミュニケーションが生まれた。結果、情報がリアルタイムに伝えられるようになった。さらに20世末から始まった情報技術(IT)革新により、通信技術とITを組み合わせデータコミュニケーションが一般化した。

 通信技術とITを活用したコミュニケーションは、人と人だけをつなぐリアルタイムのコミュニケーションを超え、今では人と機械、機械と機械など、さまざまなモノ(デバイス)をネットワークでつなぐ次世代のコミュニケーションが本格化しつつある。「IoT(モノのインターネット)」時代の到来である。

 IoTでは、コンピューターをはじめとするIT機器だけでなく、家電・自動車・気象センサー・セキュリティカメラなどのモノをネットワークにつなぐことで新たな価値の創造が期待されている。IoTはすでに、生産施設の連携で製造業をデジタル化するドイツの産官学の取り組みである「インダストリー4.0」や、家やビルなどの生活インフラや社会インフラをつなぐスマートシティーなどで活用が始まっている。