日経デジタルヘルスは2017年1月27日、医療界やアカデミア、行政・地方自治体、産業界など、さまざまなキーパーソンが参加する座談会を東京都内で開催した。これは、「情報化が切り拓く、ソーシャルホスピタル実現への処方箋」(座長:医療法人鉄祐会 理事長でインテグリティ・ヘルスケア 代表取締役会長の武藤真祐氏、特別協力:日本マイクロソフト、インテル)と銘打つ3回の座談会の第1回。14人のパネリストが活発な議論を交わした(関連記事)

座談会の様子(写真:加藤康、以下同)
座談会の様子(写真:加藤康、以下同)
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 今回のテーマは、2020年の健康・医療・介護・社会保障制度のあるべき姿と現在のギャップ。団塊の世代が後期高齢者となり、それを支える医療・健康・介護の革新が求められる「2025年問題」を見据え、そのマイルストーンとして2020年の医療・健康・介護・社会保障制度のあり方や、そこに向けた課題について議論した。

 なお、今回参加したパネリストは次の通り。

・経済産業省 商務情報政策局 ヘルスケア産業課 課長 江崎 禎英 氏
・厚生労働省 医政局 地域医療計画課 課長 佐々木 健 氏
・総務省 情報流通行政局 情報流通高度化推進室 室長 吉田 宏平 氏
・内閣官房 健康・医療戦略室 参事官 岡本 利久 氏
・佐賀県 政策部 政策課 さがデザイン担当 主査 円城寺 雄介 氏
・千葉市 保健福祉局 地域包括ケア推進課 医療政策班 主査 久保田 健太郎 氏
・福岡市 保健福祉局 健康先進都市推進担当部 部長 中村 卓也 氏
・東埼玉総合病院 地域糖尿病センター センター長 中野 智紀 氏
・京都大学医学部附属病院 医療情報企画部 教授 黒田 知宏 氏
・日本訪問看護財団立あすか山訪問看護ステーション 統括所長 平原 優美 氏
・日本介護福祉士会 会長 石本 淳也 氏
・ファルメディコ 代表取締役社長 狭間 研至 氏
・日本マイクロソフト 医療市場担当 遠山 仁啓 氏
・インテル インダストリー事業本部 清水 由香 氏

ギャップをどう埋めていくのか

日本マイクロソフトの樋口氏
日本マイクロソフトの樋口氏
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 開催に先立ち、日本マイクロソフト 執行役員 会長の樋口泰行氏が挨拶。「ソフトウエアやコンピューティングの活躍の場があらゆる分野へ広がり、AI(人工知能)やコグニティブ、ロボティクス、IoTなどのキーワードを耳にしない日はない。これらの技術を使ったさまざまな実証が進められており、デジタル技術でどんな新しいことができるかのブレストが重要になっている。メディカルやヘルスケアの領域でも、新しいアイデアが活発に議論されることに期待している」と述べた。

 続いて始まった座談会の冒頭で、座長の武藤氏は、こう切り出した。「医療・健康・介護・社会保障制度のあるべき姿と現状には大きなギャップがある。行政やアカデミア、医療機関などから多彩なパネリストが参加するこの場では、そのギャップをどのように埋められるかを議論したい。ICTの活用を一つの軸とするが、必ずしもICTにこだわる必要はない」。

座長の武藤氏
座長の武藤氏
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 その上で、医療・健康・介護・社会保障制度の「2020年のあるべき姿」「2020年への課題」というテーマに対し、パネリスト全員に事前提出してもらった回答を踏まえながらも、その場での自由な発言を促した。