がんの日常診療において、腫瘍の遺伝情報(ゲノム)を次世代シーケンサーで網羅的に調べ、遺伝子異常のタイプに合わせた最適な治療薬を選択する――。そんな時代がまもなく幕を開ける。腫瘍ではなく患者の血液や尿を使ったがんの網羅的遺伝子解析も遠くない将来、実現しそうだ。

 日本におけるこの取り組みを主導するのが、国立がん研究センターである。個々の患者の治療選択における網羅的遺伝子解析の有用性を検証する臨床研究「TOP-GEAR(Trial of Onco-Panel for Gene-profiling to Estimate both Adverse events and Response by cancer treatment)」の第1弾プロジェクト「TOPICS-1試験」を2013年7月に開始。2016年1月からは網羅的遺伝子解析の日常診療への導入に向けて、TOP-GEARの新しいプロジェクトを始動させた(関連記事1同2同3)。

 TOP-GEARの狙いや新プロジェクトの内容、がんの日常診療における網羅的遺伝子解析のインパクトについて、TOP-GEARを統括する国立がん研究センター 中央病院の田村研治氏(乳腺・腫瘍内科 科長/先端医療科 医長/通院治療センター センター長)に聞いた。同氏は、2016年2月26日開催のセミナー『医療ビッグデータサミット 2016 ~研究から臨床/実サービスへ~』(主催:日経デジタルヘルス)に登壇。「ゲノム医療、日常診療へのパラダイムシフト」と題し、血液や尿を使ったがんの網羅的遺伝子解析までを視野に入れたTOP-GEARの取り組みについて講演する。

(聞き手は大下 淳一=日経デジタルヘルス)

国立がん研究センター 中央病院の田村研治氏
国立がん研究センター 中央病院の田村研治氏
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