「何がなんでも“短命県”を返上したい。46位でもいいから、まず最下位を脱したい」――。

 弘前大学COI研究推進機構は2016年1月29日、同COIの研究や社会実装の進捗を報告する「弘前大学COI ヘルシーエイジング イノベーションサミット2016」を青森県弘前市内のホテルで開催。基調報告では、副機構長・研究統括の中路重之氏が弘前大学COI全体の活動状況を語った。

シンポジウム会場の様子
シンポジウム会場の様子
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 弘前大学COIは、600項目もの住民健康診断「岩木健康増進プロジェクト」で得られたビッグデータを活用し、企業の事業や職場での取り組み、学校での教育、市町村との連携により、健康づくりを青森県全域で社会実装していくというもの。

 青森県は厚生労働省の都道府県別平均寿命ランキングで最下位が続いている。同COIが目指すのは、冒頭の中路氏の言葉のように、短命県返上の悲願成就だ。

 2015年4月には県医師会が「健やか力推進センター」を設置した。主な活動は、地域や学校、職場での健康づくりをリードする「健やか隊員」を育成することで、これまでに15カ所・約1000人の研修を行った。

 学校での取り組みも始まった。2014年から健康をテーマにした全4~6回の授業を小学校で行っている。学校側がカリキュラムを策定し、その計画に沿って弘前大学COIから講師を派遣する形。実際に教壇に立った中路氏は「子供たちの吸収力はすごい」と手ごたえを語る。また「子供たちが両親に授業のことを話してくれるのが大きい。忙しくて健康に興味がない人に、我々は直接アプローチできないが、我が子が話すことなら興味を持って聞いてくれているはず」と副次的な効果にも期待を寄せる。