メガネと見まがうほど軽くて薄いヘッドマウントディスプレー(HMD)に、テーブルや壁を瞬時にディスプレーに変えるプロジェクション技術。運転者の感情や嗜好を汲み取るAI(人工知能)技術や、自動運転車を実現する半導体やセンサーの新製品まで。今回のCESでも、家電や自動車の最新の製品や技術が勢ぞろいした。

注目度トップは音声認識

 中でも際立っていたのが、音声認識技術の浸透ぶりである。CESを主催する米CTA(Consumer TechnologyAssociation:全米民生技術協会)も、今年の主要トピックの筆頭に、音声認識技術を挙げた。

 同技術の採用が相次ぐ一因は、認識率がここにきて急速に高まってきたからである。CTAによれば、1995年に100%だった単語誤り率(WordError Rate)は、2013年で23%にまで下がり、2017年には人間並みに達するという。早くも米国では、米Amazon.com社の端末「Echo」をはじめ、音声認識・対話機能を備えた端末がヒットし、既に数百万台売れたとされる。

 今回のCESでは、そのAmazon.com社の音声認識・対話機能基盤「Alexa」が、家電から自動車までを席巻している状況が鮮明になった。家電では、韓国LG Electronics社(関連記事)や韓国Samsung Electronics社がそれぞれAlexa対応の白物家電を見せた。

LG社の冷蔵庫
LG社の冷蔵庫
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Samsung社のロボット掃除機
Samsung社のロボット掃除機
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 LG社はスマート冷蔵庫の新製品として、「Smart InstaView」を発表した。「Amazon Alexa」に対応し、音声コマンドによる操作が可能なのが特徴だ。具体的には、Alexaを通してレシピの検索、音楽の再生、Amazon.comへの注文などができる。Uberなど配車サービスのリクエストや、キッチンタイマーのセット、天気の確認など、6000以上用意されているという「スキル」を呼び出すことにより、キッチンにおける家事やタスク管理が便利になるという。

 Smart InstaViewの扉部分には、29インチの液晶パネルを搭載。LGの「webOS」画面から、さまざまなアプリケーションを利用できる。冷蔵庫内の食材などにタグ付けして消費期限を管理したり、メモやToDoリストを家族で共有したりできる。庫内には広角レンズのカメラを内蔵、スマートフォンからカメラの映像をチェックし、買い物中に冷蔵庫内を確認する機能を備える。