邦画の歴代興行収入で第2位に入ったアニメーション映画「君の名は。」。高校生男女の入れ替わりをきっかけに展開する壮大なストーリーや、美しい風景描写が話題になった。こうしたアニメがヒットすると近年は必ず「聖地巡礼」が話題になる。作品の舞台やモデルになった現実の地域をファンが訪れる。新たな観光資源が生まれるのだ。
「聖地の中の聖地」、大洗町
茨城県大洗町。太平洋に面し、広大な海水浴場、アンコウやシラスなどの海の幸に恵まれたこの地は、大ヒットアニメ「ガールズ&パンツァー(ガルパン)」の聖地としても知られている。
「ガルパン」は、少女たちが大洗町を舞台に、戦車に乗って戦う武道「戦車道(せんしゃどう)」を通して成長するさまを描いたアニメ。2012年の放映以来、大洗町はアニメと積極的にタイアップ。毎年開催される「あんこう祭」で、ガルパンの出演声優や監督を招きトークショーを開くなどして聖地巡礼に来たファンを呼び込み、着実に来場者数を増やしてきた。20回目となる2016年には過去最高の13万人の来場を記録したという。
聖地巡礼による観光振興の優等生と言える大洗町は2016年12月3日、新たな試みを始めた。ガルパンのストーリーとキャラクターを活用し、街歩きするスマホゲーム「ガールズ&パンツァーうぉーく!」だ。
プレーヤーは、ゲームの中で次々と与えられるミッションに沿って、大洗町の様々な場所に設置してある74体の等身大キャラクターパネルを巡っていく。画面上のマップにはプレーヤーの現在位置とパネルなどの位置情報が示される。パネルにはそれぞれQRコードが設置してあり、スマホで読み込むとそのキャラがゲーム画面にも登場し、ストーリーが進行する。ミッションで指定された場所で写真を撮影すると、撮影した写真にキャラのAR画像が出現したりする。