志木市の保健事業、ウォーキング全国大会など

埼玉県志木市健康福祉部健康政策課健康政策グループの主幹で保健師の清水裕子氏
埼玉県志木市健康福祉部健康政策課健康政策グループの主幹で保健師の清水裕子氏

 最後に、埼玉県志木市健康福祉部健康政策課健康政策グループの主幹で保健師である清水裕子氏が登壇し、地域に根差した保健事業について語った。志木市は、土手や河川敷でウォーキングなどの運動をする市民が多いことに着目し、ノルディックウォーキング、ポールウォーキングの普及に努めている。2015年度からは全国大会も開催。第2回大会には3~87歳の813人が参加した。「遠方の街から参加する人もいるので、街の魅力を大会に合わせて訴求していけたら」(清水氏)。

 このほか、市民全体を対象とした保健事業では、「健康寿命伸ばしマッスルプロジェクト」などがある。同プロジェクトは、庁内の横断的チームが担当しており、健康ポイント事業や健康教室を二本の柱としている。

 健康ポイント事業は、参加者に歩数計を配布して、歩数に応じたポイントを付与するもの。体脂肪やBMIの改善、健診を受けたときにもポイントが加算され、そのポイントを地域商品券と交換できる。40歳以上の市民が対象で、2016年度は約1700人が参加しているという。専用端末が駅やスーパーなど合計27カ所に設置されており、端末に歩数計をかざすと、中間結果や年間の累計値、体重、筋力の推移などがグラフなどの分かりやすい形で表示される。

 「こうしたフィードバックや、歩数計を持った参加者同士の仲間意識によってモチベーションが維持されやすい。9割以上の参加者が毎月、継続して参加しており、途中で脱落する人が少ない」(同氏)。2015年度の参加者に対する地域商品券の付与総額は約300万円で、地域経済の活性化にもつながったとする。

 健康教室は、歩くこと、個々の参加者に合わせた筋力アップトレーニング、栄養士による定期的な食事指導の三位一体メニューを一定期間行うもので、現在は8教室におよそ200人が参加している。教室から仲間同士でサークル活動を発足させるケースも出てきて、コミュニティーにも広がりが見られるという。

 このプロジェクトに参加した人を「介入群」、参加していない人を「対照群」として、国保医療費(平均)の変化をみると、対照群では医療費が右肩上がりにふくらむが、介入群ではフラットに抑えることができ、一人当たり約2万4000円の医療費削減になったという。特に、運動教室に通った人は平均約6万2500円の削減につながったという。

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記事初出時、3ページ目で「これまでに認定を受けた事業所は約400に上る」とあったのは「これまでに認定を受けた事業所は6社である」でした。お詫びして訂正します。記事は修正済みです。