「事業主と一体的に取り組む」、シオノギの健保

 このセッションでは、塩野義健康保険組合の常務理事である森口恭明氏も登壇し、企業健保の立場から、データヘルス計画の取り組みを紹介した。塩野義健保は本社と6つの子会社の健保で、保険者は約5400人、加入者は約1万1100人。「会社は安全衛生法令の遵守、健保は増大する医療費の抑制という異なる動機ながら、従業員の健康増進という同じ目的を持てる」とし、事業主と健保で連携してデータヘルス計画を実施している。

 具体的には、事業主の「健康宣言」を受けて、健保がデータヘルス計画を策定。健保の健康管理事業推進委員会と、人事部および各事業所の安全衛生委員会がそれぞれ従業員とその家族に働きかける。

塩野義健康保険組合 常務理事の森口恭明氏
塩野義健康保険組合 常務理事の森口恭明氏

 同社のデータヘルス計画の初年度を振り返り、森口氏は「健保だからできることがあると分かった」とする。例えば、糖尿病の重症化予防においては、健保が健康情報を定期的にモニタリングし、会社の産業医(主治医)と連携を取ることで、健診異常で未受診の人には受診勧奨、検査結果に改善が見られない場合は主治医の生活指導などを行う。「個人の健康状態や受診状況に合わせた支援が可能」(森口氏)。実際に、糖尿病や循環器疾患の受診勧奨事業では12人中10人が受診し、生活指導は20人中14人が参加。検査結果や生活習慣の改善が見られたという。

 また、データヘルス計画の運営について、計画当初は、データ分析事業者と生活指導事業者の間を健保がつなぐ体制となっていたが、事業者に相談して、分析事業者が運営にも携わり、生活指導事業者と連携を取る体制ができたという。「われわれのような小さな健保でも安心してデータヘルス計画ができる委託事業者の存在がありがたかった。今後もこのようなサービスの充実を願っている」(森口氏)。