「CES 2017」の会期中、ソニー 代表執行役社長 兼 CEOの平井一夫氏に対する日本の報道機関の共同インタビュー(ラウンドテーブル)が開催された。そのインタビューに答えるかたちで、「CES 2017」で発表した製品や2017年の事業戦略などについて語った。発言の趣旨は以下の通りである。
北米では、テレビ事業が順調であり、次はオーディオ事業の成長を狙いたい。そこで重要になるのは、「ソニー=高品質のオーディオ」ということをどう伝えていくかということである。こうしたイメージは、アジアや欧州、中南米などでは定着していると考えており、北米でも同様にしたい。
ヘッドホンに関しては、得意とするノイズキャンセル機能を武器に事業を拡大する。同機能を搭載したヘッドホンのフラッグシップ機「MDR-1000X」があるが、さらにいろいろな形状のものを販売していくつもりだ。本体のみでワイヤーがない、いわゆる「True Wireless」のイヤホンや、首にかけて利用するネックバンドタイプのイヤホンを開発し、今回のCESで参考展示した。
アナログオーディオには手ごたえを感じている。ソニーだけではなく、日本ではアナログオーディオが盛り上がっている。私自身、ハイレゾオーディオ好きということもあり、アナログオーディオにはあまり期待していなかったが、実際にアナログ音源を聞いてみると、その温かみと厚み、奥行きのある音に感動した。そう感じる人が多いのだと思う。アナログオーディオ単独で巨大な事業になるとは思わないが、アナログオーディオに対するリスペクトは忘れずに、ソニーはこの事業に力を入れていく。
カメラ事業は好調で、特に(小型のフルサイズのミラーレスカメラである)「α7シリーズ」が1つの市場を形成したという自負がある。そこでソニーとしては、フルサイズ機やミラーレス機、そして「RXシリーズ」のような高級コンパクト機を積極的に展開していきたい。
スマートフォンのカメラの2眼化には大いに期待している。イメージセンサー事業にとっては大きなビジネスチャンスだ。だが、現状では、2眼カメラを搭載したスマートフォンは全体の一部に過ぎない。今後、どの程度まで広がるのかが重要だ。あくまで個人的な考えだが、アウトカメラだけでなく、仮にインカメラまで2眼になればイメージセンサー事業にとっては大きなプラスになるだろう。だた、インカメラが2眼になるとしても、ずっと先のことになると思う。