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 米Fiat Chrysler Automobiles(FCA) US社は、部分的な自動運転車から完全自動運転車に更新できるコンセプト車を発表した。センサーなどのハードウエアは完全自動運転を想定したものをあらかじめ搭載し、主にソフトウエアを更新して実現するようだ。所有者が同じ車両を長い間使いやすくなる。

 ソフトウエア更新で機能を高める手法は、ITを積極的に採り入れて成長する米Tesla Motors社が得意とする(関連記事)。同社の手法を参考にすることで、FCA US社はIT技術に親しむ若い世代を取り込みたい考えだ。

 Chryslerブランドの車両で「Portal Concept」と呼び、「CES 2017」(米国ラスベガス、一般公開日:2017年1月5~8日)で発表した。1982~2001年に生まれた「ミレニアル世代」を意識して開発した。同世代は、「実用的で機能的なモノを好む上、一つのモノを長く使う傾向がある」(FCA US社)。更新機能で長期間にわたって最新技術を投入し、ミレニアル世代の購買意欲を高めたい考えだ。

 コンセプト車は、米自動車技術会(SAE)が決めた自動運転の水準で、レベル3相当の自動運転機能を実現する。運転者が車両を監視することが前提で、高速道路などで運転を車両に任せられる。将来ユーザーが望めば、地域は限定するかもしれないがすべての運転を車両が担う、レベル4相当の自動運転機能に更新できる。

 周囲を認識するセンサーや、アルゴリズムを演算処理するプロセッサーなどの主なハードウエアは、完全自動運転車を想定した高性能品を用意した。カメラは短距離と長距離の2種類あり、車両の前と横、後ろに、ミリ波レーダーは車両の前後などに搭載する。赤外線レーザースキャナー(LIDAR)を用意し、車両の前方を認識する。さらに超音波センサーを車両の前と後ろのバンパーに備えた。