クルマの天井でくるくる回り、周囲の状況を把握する。自動運転の実験車両がほぼ標準的に採用しているLIDAR(レーザーレーダー)を供給するのが米Velodyne LiDAR社だ(図1)。優れた認識精度が高く評価されている一方で、「量産車には使えない」(ある自動車メーカーの自動運転技術者)との声も少なくない。
まるでフライドチキンのバケツ(チキンバスケット)のようだ——。大きくて存在感のある見た目から、Velodyne社のLIDAR「HDL-64」は業界内からこう言われる。デザイン的に美しさに欠けるのだ。さらに、価格も数百万円と高い。
こうした問題を払拭すべく、Velodyne社は新型のLIDAR「VLS-128」を開発した。HDL-64と同等以上の認識性能を確保しつつ、「体積を1/3に、質量を1/5にした」(同社の担当者)という(図2)。検知距離は「最大で300mまで可能」(同社CTOのAnand Gopalan氏)。2017年後半からサンプル出荷しており、「2018年には各社の自動運転実験車に搭載され始める」(同社President and CCOのMike Jellen氏)。
「実験車だけでなく、もちろん量産車への搭載も狙っている」。Jellen氏はこう断言する。この言葉を裏付けるように、バンパーなどに搭載する小型LIDARの改良やラインアップ拡充も進めている。