不正会計問題で業績不振が明るみになった東芝。この影響かどうかは不明だが、同社は2016年1月に開催されたCESにおいて、メーンの「セントラルホール」への出展をやめた。これまで毎年、CESのセントラルホールに大きなブースを構え、テレビやパソコンなどの最新家電を展示していた。

 一方で、半導体製品の出展は続いている。2015年までは会場周辺のホテルの部屋を借りて展示していたが、2016年はホテル内の比較的広い会議場を貸し切り、最新の半導体製品群をプライベート展示していた。

画像処理IC「TMPV7608XBG」のデモ
画像処理IC「TMPV7608XBG」のデモ
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 その展示の中で、東芝がもっとも力を入れていたのが、車載分野の半導体製品である。中でも画像処理IC「TMPV7608XBG」は、会場の入り口付近、来場者の目に留まりやすい場所に展示されるなど、車載を強く意識した展示だった。同ICは、「Visconti」シリーズの最新製品である。

 会場では、車載カメラで捉えた映像に対して、同ICに搭載した8つのCPUコアで8種類の異なる画像認識処理を実施する様子を見せた。例えば、道路の白線検知や動体検知、標識検知、信号検知などである。いずれも、欧州の自動車アセスメント「Euro NCAP」において、2018年から要求される項目を想定したデモである。

 この「TMPV760シリーズ」を発表したのは、2014年11月だが、8コアすべてを利用した動作デモは今回が初めてだという(関連記事)。画像処理用のアクセラレーターを搭載することで、消費電力を2W程度にまで小さくした点を特徴にうたう。「競合他社に比べて、1桁は小さい」(説明員)と胸を張る。消費電力が小さいため、冷却ファンやヒートシンクは不要だという。