セミナー「どうなる? 遠隔診療」(2015年12月9日、主催:日経デジタルヘルス)では、プログラムの最後にパネルディスカッションが実施された。パネリストは、本セミナーに登壇した秋野公造氏(参議院議員)酒巻哲夫氏(日本遠隔医療学会 理事・副会長)五十嵐健祐氏(お茶の水内科 院長)新井浩二氏(エムキューブ 代表取締役)趙章恩氏(ITジャーナリスト)

 モデレーターは、日本遠隔医療学会 常務理事(群馬大学医学部附属病院システム統合センター研究員)の長谷川高志氏が務めた。

パネル討論の様子
パネル討論の様子
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 パネルディスカッションでは、それぞれ立法府や学会、医師、企業などの立場から活発な議論が交わされた。このうち、「遠隔診療の活用が期待される疾患領域は何か?」という問いに対しては、各パネリストは次のように語った。

 秋野氏が挙げたのは、「生活習慣病やがんの重症化予防」。さらに、骨太の方針で幅広く遠隔診療を推進する方向での合意形成がなされたことを踏まえ、「医療である以上、診療報酬を付けるのであれば、幅広く多くの国民に等しい質で提供できなければならない」と続けた。

 酒巻氏は、遠隔診療の活用を「マジョリティー」と「マイノリティー」に分類。マジョリティーには高血圧や糖尿病、がん、睡眠時無呼吸症候群などが含まれる。このうち、がんであれば自宅で死ぬことなどへの対応を踏まえると、「在宅で診ることができる仕組みは非常に重要となる」(酒巻氏)とした。一方、マイノリティーは日本に数百人しかいないような難病への活用だ。しかし、このような分野は「誰かが積極的に打って出ないと物事は解決しない」(同氏)ため、何らかのアクションを起こす必要があると力説した。