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 米国次期大統領Donald Trump氏の保護主義的な発言で世界の自動車メーカーが揺れる中、「デトロイトモーターショー2017(NAIAS2017)」が2017年1月8日(現地時間)に開幕した。

 Trump氏は“米国第一主義”を掲げ、NAFTA(北米自由貿易協定)の見直しに言及する。自動車メーカーがメキシコに工場を設けることを批判し、メキシコから米国に輸入されるクルマに高関税をかける可能性を示唆する。

 こうした状況を受けて米Ford Motor社は2017年1月3日、メキシコに新工場を建設する計画を中止すると発表した(関連記事1)。同氏の批判の矛先は、メキシコ製の車両を米国に輸出する米GM社にも向かう。

 日本メーカーもやり玉に挙がった。メキシコに新工場を建設する計画のトヨタ自動車に対して、同氏は自身のTwitterで2017年1月5日に、「新工場の建設はあり得ない」と批判した(関連記事2)

 Trump氏の批判に対してトヨタは、「メキシコの新工場が稼働しても、米国内の生産が減ることはない」としている。1月9日に行うNAIAS2017のプレスカンファレンスの場でも、こうした同社の考えを表明するとみられる。

好調な新車販売に潜む不安材料

 米国の自動車市場が抱える課題は、Trumpリスクだけではない。新車販売にも不安材料がある。

 マークラインズの2017年1月5日の発表によると、2016年の米国新車販売台数は前年に比べて0.4%増加の1755万351台となり、2年連続で過去最高を更新した。ただし車種別で見ると、ピックアップトラックやSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)などのライトトラックは同7.2%増加の1044万5189台だったが、乗用車は同8.1%減少の710万5162台にとどまった。

 燃料安などの追い風を受けて、米国では乗用車からライトトラックに需要がシフトしており、新車販売全体に占めるライトトラックの比率は59.5%まで高まっている。

 目先のビジネスを考えると各社は、販売が好調なライトトラックの販売をさらに増やす方向にある。NAIAS2017でも1月9日以降、多くのメーカーが新型SUVを公開する(関連記事3)

 ただし中期的に見ると、乗用車販売の立て直しは避けて通れない。NAIAS2017ではトヨタやホンダ、富士重工業、ドイツBMW社などが、セダンやミニバンなどの新型車を公開する予定である。