図1 スキューズの「トマト自動収穫ロボット」
図1 スキューズの「トマト自動収穫ロボット」
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図2 ロボット本体とアームの先には画像センサーと距離画像センサーが一体となったカメラを搭載する
図2 ロボット本体とアームの先には画像センサーと距離画像センサーが一体となったカメラを搭載する
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図3 NEDOの支援により開発した多軸ロボット「N-JIKUロボット」
図3 NEDOの支援により開発した多軸ロボット「N-JIKUロボット」
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 「2015国際ロボット展」では、産業分野、サービス分野に加えて農業分野に関するロボットの展示が目立った。農業は少子高齢化による人手不足のために、自動化のニーズは高い。その手段の1つとして注目を浴びるのがロボットというわけだ。今回の国際ロボット展では「ロボット技術が切り拓く日本農業の未来」というフォーラムも開催された(関連記事)。企業や大学の展示ブースでも、農作業を行うロボットが展示されていた。

 まず目を引いたのが、産業ロボットのシステムインテグレートや開発を手掛けるスキューズの「トマト自動収穫ロボット」だ(図1)。このロボットは経済産業省と農林水産省の支援を受けて同社が開発を進めているもの。現在は長崎県や北海道で実証実験を進めている。

 ロボット本体と2本のロボットアーム先端にそれぞれ搭載したカメラと距離画像センサーを利用して、トマトの房と実を認識する(図2)。対象となる実が見つかると、ロボット本体に2台搭載されたデンマークUniversal Robots社の多関節ロボット「UR5」がアームとして動き、実を収穫する。現在、実の探索から収穫までの作業にかかる時間は20秒。同社の関係者によると「20秒でも作業時間としては遅い。最終的には10秒以下、具体的には6秒程度で作業できるようにしたい」と語る。

 展示していたロボットの総質量は約400kgで、鉛蓄電池で駆動する。軽量化と小型化のために、シート状のLiイオン電池を今後搭載する予定という。

 今回展示したロボットはプロトタイプであり、すでに2号機の開発が進んでいる。本体を小型化し、ロボットアームは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受けて自社開発した「N-JIKUロボット」に変更する予定である。(図3)。