Cu-Cu接合で作製した撮像素子の断面(写真:IEDM、撮影:ソニーグループ)
Cu-Cu接合で作製した撮像素子の断面(写真:IEDM、撮影:ソニーグループ)
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  ソニーグループ(ソニーセミコンダクタソリューションズとソニーセミコンダクタマニュファクチャリング)は、積層型のCMOSセンサーに向けた新しい貼り合わせ技術について、「IEDM 2016」で発表した(講演番号:8.4)。同技術は、裏面照射型のCMOSセンサー部とロジック回路を接合するときに利用するもの。物理的に接合するだけでなく、両部の接合界面でそれぞれCuパッドを露出させて両パッドを接合することで、電気的導通も確保する。「Cu-Cu(カッパーカッパー)接合」と呼ぶ。既に、同社のCMOSセンサーの量産に適用している。

 従来は、CMOSセンサー部の絶縁膜とロジック回路部の絶縁膜を貼り合わせて物理的に接合し、その後TSVで貫通電極を設けて両部を電気的に導通させていた。Cu-Cu接合は従来方法に比べて、大きく2つの利点を備える。1つは、生産性が高まること。例えば、TSVの工程が不要になり、タクト時間の短縮につなげられる。

 もう1つは、設計の自由度が高まること。例えば、受光素子(PD:Photo Diode)の直下に導通部を設けられる。これにより、読み出しの高速化やCMOSセンサーの微細化などを実施しやすくなるという。TSVの場合、受光部の外周に貫通電極を設けるため、PD直下に導通部を設けることはできなかった。

 Cu-Cu接合は、原理的に利点が多いものの、特性ばらつきや歩留まり低下を抑制するのが難しく、これまで実用化されてこなかった。「10年近く前から、さまざまな企業や研究機関が取り組んできたが、量産に適用し、今回のように信頼性に関するデータまで発表するのは我々が初めてだろう」(ソニーグループ)。