医療分野の個人情報保護やデータ利活用のあり方に大きく影響するとされる改正個人情報保護法。「第36回医療情報学連合大会(第17回日本医療情報学会学術大会)」(2016年11月21~24日、パシフィコ横浜)では、医療情報分野における改正個人情報保護に関して多くの議論が展開された(関連記事1)

 改正個人情報保護法では、個人情報の定義の明確化や個人情報の保護の強化などが盛り込まれた一方、データの利活用を促進することを狙いとした改正法下の新たな類型として注目されるのが、「匿名加工情報」だ。ワークショップ「パーソナルデータの利活用は進むのか -ルールと保護技術の最前線」では、NTTセキュアプラットフォーム研究所 セキュアアーキテクチャプロジェクト セキュリティデザイングループ研究主任の藤村明子氏(法務博士)が登壇。「匿名加工情報に関するルール整備」と題し、ルールの整備状況について解説した。

登壇した藤村氏
登壇した藤村氏
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 藤村氏はまず、改正個人情報保護法に関する法律、規則・制令、ガイドライン、指針の体系イメージを説明した。「現行法では法律の上に各省庁のガイドラインが複数あったが、改正法では個人情報保護委員会がすべての分野に共通に適用される汎用的なガイドラインとして一元化されている。2016年11月2日に締め切ったパブリックコメントには、「通則編、第三者提供時の確認・記録義務編などに分かれ、その中に匿名加工情報編がある」と説明。この中で特異性のある、医療関連、金融関連、情報通信関連などが別途、規律される省庁のガイドラインが策定される予定である。

 さらに、この各省庁のガイドラインを踏まえて、法律によって民間に作成が委ねられる「認定個人情報保護団体指針」が作られ、会員企業や対象事業者はこの指針によって対応が求められるよう制度設計されている。「匿名加工情報に関しても、この指針でどれだけ具体化できるかが、大きなポイントになると予想されている」と指摘した。