登壇した大島氏
登壇した大島氏
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 複数の医療機関から医療情報を集め、匿名化した上で第三者に提供する「代理機関(仮称)」に関する議論が、佳境を迎えている。内閣官房 健康・医療戦略室 次長の大島一博氏は「年内をめどに実務的な整備を行い、来年1月末からの通常国会のどこかで法案を提出したい」と語る。第36回医療情報学連合大会(第17回日本医療情報学会学術大会)(2016年11月21~24日、パシフィコ横浜)の学会大会企画「医療を取り巻く個人情報保護の行方」に登壇した同氏は、代理機関に関する議論の主な論点を紹介した。

 大島氏はまず、2014年7月に閣議決定された政府の「健康・医療戦略」に言及した。同戦略は「医療分野の研究開発」「新産業の創出」「医療の国際展開」「医療のICT化」という4本柱から成る。

 このうち、医療のICT化に関する主な課題に同氏が挙げたのが、(1)医療等IDの導入、(2)(レセプトや特定健診結果など)医療保険システム情報の徹底活用、(3)診療や検査結果データなどを収集し活用するセキュアな機関を認定する仕組みの創設、の3点である。

 代理機関は(3)に当たるもの。2016年6月に閣議決定された日本再興戦略2016ではその役割を「医療分野等の情報を活用した創薬や治療の研究開発の促進に向けて、治療や検査データを広く収集し、安全に管理・匿名化を行い、利用につなげる」ことと定義し、2017年中をめどに所要の法制上の措置を講ずるとしている。