米サンフランシスコで開催された「ISSCC(International Solid-State Circuits Conference) 2018」(2月11日~15日)のデジタルアーキテクチャー分野では、ここ数回と同様に(あるいは更に)、深層ニューラルネット(DNN)分野のハードウエアソリューションの発表が盛り上がりを見せた。

 例えば、口頭発表が始まった2018年2月12日に行われた基調講演の1つには、米Google社/米University of California, BerkeleyのDavid Patterson氏が登壇し、「50 Years of Computer Architecture:From Mainframe CPUs to Neural-Network TPUs」というタイトルで語った(講演番号 1.4)。同氏は、プロセッサーアーキテクチャの変遷とその結果としてRISCが勝ち残ったことを論ずるとともに、(1)今後のドメイン・スペシフィック・アーキテクチャーの重要性や、(2)GoogleのTPU(Tensor Processing Unit)の技術内容とそのエネルギー効率優位性、(3)オープンプロセッサーIPとして盛り上がりを見せつつある「RISC-V」、について述べた。

 TPUに関しては、「DNNアクセラレーターに手を打たなければ更に倍の規模のデータセンターが必要になること」が開発着手時のモチベーションだったことを講演の中で明らかにした。「今はアーキテクチャー/プロセッサーハードウエアのルネサンス期であり、この時代にこの分野を学び研究していることは非常に幸運である」という強いメッセージが印象的だった。

 DNNプロセッサーにフォーカスしたセッションである「Session 13」は、仏Google社のOlivier Temam氏がDNN技術潮流を俯瞰した招待講演で幕を開けた(講演番号 13.1)。Temam氏は中国科学院発のDNNプロセッサー「DaDianNao」の共同研究者として知られている。エッジとクラウドの協調、ハードとソフトの協調などが重要であることを述べ、DNNアルゴリズムの急激な発展に呼応するハードウエアプラットフォームの構築を集積回路研究者に呼びかけた。950名もの聴衆を集めて熱気を帯びた講演だった。