「IoTは将来性豊かな分野。ここに人、モノを積極的に投入していきたい」――。クアルコム シーディーエムテクノロジーズ日本法人 マーケティング/ビジネス開発 統括部長の須永順子氏は2015年12月17日、SEMICON Japan 2015(東京ビッグサイト)のITフォーラム(協賛:米国大使館)において、米Qualcomm社のIoT(Internet of Things)へのアプローチを解説した。

 須永氏によるとQualcomm社は現在、IoT分野で大きく4つの取り組みを進めている。第1は「LTE eMTC(enhanced Machine-Type Communications)」などIoTに適した通信方式の開発と実用化。第2はドローン用基板の「Qualcomm Snapdragon Flight」。第3はコグニティブコンピューティングによる機械学習。そして第4がデベロッパー支援である。

 このうちLTE eMTCは、これまでのLTEが高速・大容量を目指していたのに対して、IoTで求められる「省電力」「低価格」「ネットワークのカバー率の高さ」を重視した通信方式となる。現在、3GPP(3rd Generation Partnership Project)が標準化作業を進めており、「5Whのバッテリーなら、5~10年は交換せずに使えることを目指している」(須永氏)。Qualcomm社では対応基地局の整備などを含めて、eMTCの実用化は2017年になると見ている。このeMTCの先に携帯電話網を使ったIoT向けの通信方式「NB-IoT(NarrowBand-IoT)」がある。こちらのバッテリー寿命の目標は10年超となる。

 eMTCやNB-IoTの実用化を待てないユーザーのためには、2016年上期に「LTE Cat 1」をサポートするモデムチップを出荷する(Qualcommのリリース)。Cat 1は通信速度をダウンリンクで最高10Mビット/秒、アップリンクで最高5Mビット/秒に抑える代わりに、省電力モードで10年超のバッテリー寿命を実現するもの。「スマートメーター、アセットトラッキング、ウエアラブル機器などでの利用を考えている」(須永氏)。

クアルコム シーディーエムテクノロジーズ日本法人 マーケティング/ビジネス開発 統括部長の須永順子氏
クアルコム シーディーエムテクノロジーズ日本法人 マーケティング/ビジネス開発 統括部長の須永順子氏
[画像のクリックで拡大表示]