どんな機器でもネットワークにつなぎ、データ解析も提供、Ayla Networks社


 半導体関連企業が集うeuroasiaPRESS 1:1の参加企業の中で今回、異色といえるのがクラウドサービスを展開するAyla Networks社である。同社はIoT向けのクラウドサービスとして、照明器具や掃除機、冷蔵庫、エアコンといった住宅やオフィスに設置する様々な機器をネットワークに接続するプラットフォーム事業を手掛けている。米国と中国、欧州にオフィスを構えており、中でもネットワーク接続機能を多様な機器に盛り込もうとする意欲が強い中国での事業を重視しているようだ。

 白物家電など、これまでネットワーク機能を備えていなかった機器をネットワークにつなぐといっても、パソコンや携帯電話機をネットワークに接続する場合と話が異なる。白物家電などを手掛ける企業数はパソコンや携帯電話機などに比べて桁違いに多い。しかも、ネットワーク技術に長けた技術力が十分に備わった企業は多いとはいえない。Ayla Networks社は、こうした企業へのネットワーク接続技術の提供と、接続した機器から集まるデータの収集、さらにデータの解析サービスを展開する。ネットワークに接続する機器を取り巻く状況の変化を、Ayla Networks社は突いた形だ。

Ayla Networks社が提供するプラットフォーム(同社のプレゼンテーション資料より)
Ayla Networks社が提供するプラットフォーム(同社のプレゼンテーション資料より)

 データの解析サービスは顧客にとって有望とする。消費者が機器を操作する状況、例えばどのようにボタン操作をするのかなどの情報を解析することで、操作性向上など次世代製品の開発に生かせるからだ。集められたデータには消費者が無意識に操作したものもあり、消費者の深層心理を読んだ上での製品開発が可能になるとする。次世代製品の開発も短期化できるようだ。「データを集めるだけでは意味がない。データを可視化し、解析することでデータの真の価値が生まれる。我々のサービスを利用すれば、顧客はデータアナリストを雇う必要はない」(Ayla Networks社Chief Executive OfficerのDavid Friedman氏)。

データ解析サービスの流れ(Ayla Networks社のプレゼンテーション資料より)
データ解析サービスの流れ(Ayla Networks社のプレゼンテーション資料より)

 機器をネットワークにつなげることで消費者の行動を手に取るように分かるようになれば、機器を開発するメーカーが得られる利点は大きい。その一方で、ネットワーク機能を搭載した機器を導入する利点を、果たして消費者が見いだせるのかに疑問が残る。これを同解決していくかについて、euroasiaPRESS 1:1では参加メディアからAyla Networks社に質問があった。だが、どのように解決するかはAyla Networks社ではなく顧客が考えることとし、明確な回答はなかった。引き合いを増やしていく上でも、解決手法を例示してほしいところだった。

Ayla Networks社Chief Executive OfficerのDavid Friedman氏
Ayla Networks社Chief Executive OfficerのDavid Friedman氏