「医療は決して経済社会のお荷物ではない。医療こそが、これからの日本の社会を変える産業になり得る」――。医療の輸出産業化を実現すべく、その第1段としてカンボジアに医療施設をオープンさせた医療法人社団 KNI(関連記事)。理事長の北原茂実氏は、「デジタルヘルスDAYS 2016」(2016年10月19~21日、主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス)のカンファレンスで、「新しい医療が日本を立て直す-社会を良くする唯一の方法とは?-」と題して講演した。

 「あなた方は、本当に幸せですか」。こう聴講者に問うた北原氏の講演は、ワーキングプアに陥っている日本社会の現状とその原因を説明するところから始まった。そして、こうした社会を変革するためには、これまでの医療のあり方を根底から見直す、新たな医療の視点が必要だと指摘した(関連記事)

講演する北原氏
講演する北原氏
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 北原氏の考える医療とは、病院という“箱”の中で行われる医療行為ではない。「人々が正しく生きるための知識と思索の体系、集大成であり、人がいかにして良く生き、死ぬか。そのすべてをプロデュースする総合生活産業、ビジネスである」とし、医療はけっして経済社会の足を引っ張るお荷物ではなく、あらゆる産業との結びつきの中心に医療を考えるべきだと語った。