講演する白岡氏
講演する白岡氏
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 医療法人やフィットネスクラブの運営、データヘルス事業などを手掛けるメディカルフィットネスラボラトリー 代表取締役 CMO(最高医療責任者)の白岡亮平氏は、「デジタルヘルスDAYS 2016」(主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス)のオープンシアターに登壇し、「医療データとデイリーアクティビティデータを連動させた新しい健康形成の試み」と題して講演した。

 白岡氏はまず、保険医療や薬剤による治療を軸としてきた従来の医療から、セルフメディケーションや行動変容を通じた「予防」を軸とする医療へのシフトが進んでいることを指摘。そこでは、医療機関や日常、職場において収集するさまざまな生体データを統合的に分析した上で、健康増進のための施策を実践することが重要だと話した。

 ところが、実際にはそうした形で集められる医療ビッグデータは「空間的、時間的に断片化されている」と白岡氏は話す。「情報が断片化されていない“これからの健康形成”の実証の場が必要だ」(同氏)。

 そこでメディカルフィットネスラボラトリーでは、運営する医療法人やフィットネスクラブも活用しながら、さまざまな空間で集めた健康データを統合的に収集・解析できるPHR(Personal Health Record)基盤の構築を進めている。プライマリケアを担う医療法人社団ナイズや、Fitbitなどのウエアラブル端末も積極活用するフィットネスクラブ「DATA FITNESS」、企業従業員の健康支援に向けてヤフーとの合弁で立ち上げた「ワーク&ウェルネス」。こうした同社グループのリソースを活用し、医療情報から健診データ、日々の食事や活動のデータを統合的に扱えるPHR基盤をつくる。

 PHRのアプリに収集したデータは、医師や管理栄養士などの専門家の集合知から生成したアルゴリズムで解析。個人の健康状態を明らかにした上で、それに見合った専門家からのソーシャルアクションなどによって行動変容を支援する。「人の手がかかる部分と自動化できる部分。その両面で行動変容を促す」(白岡氏)仕組みを目指す。