新たな健康価値のある素材を適切な人に届けられるよう、ヘルスリテラシーの壁を打破したい――。

 発酵技術を駆使して各種アミノ酸をはじめ、核酸関連物質やビタミン類、生理活性物質、オリゴ糖やジペプチドなどの有用物質の発酵生産技術を開発・製品化し、人々の健康と暮らしに寄与する協和発酵バイオ。同社 学術研究企画室マネジャーの小松美穂氏は、2015年秋に弘前大学COI研究推進機構に正式参画した動機を、「デジタルヘルスDAYS 2016」(2016年10月19~21日、主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス)のオープンシアターでこう述べた。

協和発酵バイオの小松氏
協和発酵バイオの小松氏
[画像のクリックで拡大表示]

 小松氏は、有用な素材を有し、健康価値を提案してきたが、「実際に受け取る消費者や企業の意識として適切に届いていない」と事業の現状を指摘。消費者に対して「簡単に気づきを与える仕組み(指標の開発)と行動を変えるための教育(啓発方法の検討)を考えていく必要がある」として、弘前大学COIの「健康ビッグデータ」と「健康教育」に着目したことが参画の背景だという。

 同社が弘前COIで取り組んでいることは、(1)新たな健康価値の探索、(2)新たな健康指標の開発、(3)潜在市場の掘り起こし、の3点だ。

 (1)に関しては、製造販売している生理活性のある素材は、「これまでの健康価値に留まらず、新たな健康価値があると考えている。そのために食品/栄養成分と健康との関連性を解析したい」と述べる。

 (2)については、未病マーカーを開発し、健康を見える化して素材の摂取につなげることを目標にする。

 (3)は、生活習慣の見直しの提案、啓発手法の開発によって、「潜在的な健康食品市場の掘り起こしにつながるのではないか」と期待する。