一人で判断できるように

クリーニング作業の作業カード一例
クリーニング作業の作業カード一例
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反復する作業の条件設定画面
反復する作業の条件設定画面
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 例えば、就労現場がクリーニング会社で、衣類を畳む作業を指示する場合を想定する。作業員の仕事は、畳むという動作を反復することと、衣類が十分洗濯されているかどうかなど条件を判断すること。知的障害の人にとって、「汚れがあるから別に棚に入れる」と判断するのは困難であることが多い。

衣類の状態を尋ねる画面イメージ
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 そこで、端末を通じて1枚1枚「汚れやほつれがありませんか」と状況を問う画面を用意する。「はい」を選択すると衣類を畳まずに棚に置く指示が表示され、「いいえ」を選択すると畳み方の指示が表示される仕組みだ。「条件を入力するだけでその後の作業が指示されるため、補助の人が傍に立っていなくても一人で仕事ができるようになるのではないか」(金子氏)。

 作業内容を示すカードは、管理者がiPadで撮影した写真を利用することができる。写真を利用する利点について金子氏は次のように話す。「例えば、自閉症の人に赤い車のカードを出して車に乗ることを説明した後、白い車に乗ろうとすると、赤でないことに困惑することがある。実際に作業する場所や物はそのままカードにした方が理解を助ける」(金子氏)。

「アイロンをかける」作業カード
「アイロンをかける」作業カード
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「衣類を畳む」作業カード
「衣類を畳む」作業カード
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 設定した時刻に特定のカードがポップアップするタイマー機能も付けられる。これは、「知的障害のある人のなかには、時間の概念が分からず集中しすぎてしまう人もいるので、休息カードを作り、意識的に休息をとらせることを狙いとしている」(金子氏)という。