医療分野の学会でも話題になる機会が増えた、3Dプリンター。遠隔医療の領域ではどのような可能性を秘めているのか――。
3Dプリンターメーカー最大手、米Stratasys社の販売代理を担う丸紅情報システムズの杉山久幸氏(同社 モデリングソリューション技術部)は「第19回 日本遠隔医療学会学術大会(JTTA 2015)」(主催:日本遠隔医療学会)の「大会企画シンポジウムIII」に登壇。「遠隔医療における3Dプリンタの担う役割」と題して講演した。
杉山氏はまず、人工骨や術前シミュレーション用臓器模型の作製など、医療のさまざまな場面で3Dプリンターが活用されるようになったトレンドを紹介。今後は「ファントムモデルのような模型としての一般用途」「人工骨のような物性や機能を要求するもの」「補聴器や歯列矯正のような精度・微細性と物性を要求するもの」という三つの方向でさらに活用が進むとの見方を示した。
一方、普及への課題として挙げたのは、3Dプリンターによる医療用模型の保険点数が現状では2000点と低いことや、患者に直接使用する場合の模型材料の安全性をどう担保するか、などの点である。