ヤマハ発動機はヒト型自律ライディングロボット「MOTOBOT ver.1」を、「第44回東京モーターショー2015」(2015年10月29日~11月8日)に出展した。車両本体に特別な機能を付加することなく、ロボットが人間のように2輪車を操作することで自動運転を実現する。実際、MOTOBOTが乗る2輪車は、参考出展車(輸出仕様車)の「YZF-R1M」。米国で行った実験では、既に100km/h以上での直進走行を実現している。

ヤマハ発動機が開発したヒト型自律ライディングロボット「MOTOBOT ver.1」
ヤマハ発動機が開発したヒト型自律ライディングロボット「MOTOBOT ver.1」
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 MOTOBOTは、速度やエンジン回転数といった車両の動作状況から得られる情報、加速度センサーやジャイロセンサーで得られる姿勢の情報などを基に、6つのアクチュエーターを制御して自律走行する。具体的には、右手/右腕に2つ、左手に1つ、胸部に1つ、右脚に1つ、左脚に1つのアクチュエーターを搭載し、アクセルとフロントブレーキ、クラッチ、ステアリング、リアブレーキ、シフトペダルを緻密に操作する。

MOTOBOTの右手部分
MOTOBOTの右手部分
アクセルとフロントブレーキを操作する。アクセルはハンドルの円筒部を覆う形で固定されており、任意の角度に回転させる。ブレーキレバーには指のような部品を固定し、腕の中のアクチュエーターで引っ張る。
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MOTOBOTの左手部分
MOTOBOTの左手部分
クラッチレバーを操作する。フロントブレーキと同様、腕の中のアクチュエーターで引っ張る。
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MOTOBOTの上半身
MOTOBOTの上半身
胸部にあるのが、腕を動かすアクチュエーター。左右の腕を前後に動かすことで、ステアリングを操作する。なお、頭部にはカメラが組み込んであるが、現時点では撮影するだけで、車両の制御には使っていない。
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 MOTOBOTの重さは約45kg。運転する際の前傾姿勢で肘や膝、腰の角度は決まっているため直立はできない。車両に自動運転のための装置は組み込んでいないが、MOTOBOTを固定するためにシートは外して固定部は加工してある。また、MOTOBOTの両足はリアブレーキまたはシフトペダルに結合されているため、停止時に車体が倒れるのを防ぐためのスタンドも取り付けた。

MOTOBOTの右脚部
MOTOBOTの右脚部
リアブレーキを操作する。ブレーキペダルは足部分の中にあるので外からは見えない。なお、右足は通常のアクチュエーターによる動作だけではなく、緊急時に停止するための空圧よる駆動機構も設けてある。
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MOTOBOTの左脚部
MOTOBOTの左脚部
シフトペダルを操作する。右足と同様、ペダルは足の中に入っている。シフトペダルは上下動させる必要があるため、右足とは異なる駆動機構となっている。
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