佐賀県 政策部 企画課 企画担当係長/救急医療・災害対応無人機等自動支援システム活用推進協議会(EDAC) 副理事長兼CEOの円城寺雄介氏は、「第21回 日本遠隔医療学会学術大会(JTTA 2017)」(2017年9月30日~10月1日、宇都宮市)のシンポジウム「新たなテクノロジーの挑戦と遠隔医療」に登壇。「ドローン、IoTなどの最新技術で変わる近未来の救急医療と遠隔医療」と題して講演した。

登壇した円城寺雄介氏
登壇した円城寺雄介氏
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 佐賀県は2011年から県内すべての救急車にiPadを導入し、搬送先決定に活用してきた(関連記事1)。円城寺氏はこの取り組みの主導者。「医療と行政、消防が同じデータを見て議論できるようになった」(円城寺氏)ことで、搬送時間短縮やその後のドクターヘリ導入につながったという。今では同様の取り組みが、全国に広がっている。

 医療へのIT活用に関して、佐賀県ではこれに続いて(1)救急搬送への医療情報や生体情報の活用、(2)ドローンの医療応用、などのテーマに挑んでいる。

 (1)は、救急搬送時に患者の病歴や投薬情報、ウエアラブル端末で集めた生体情報などを活用しようという構想。将来は重篤な病気をウエアラブル端末などで事前に予測できるようにし、「急患のいない世の中」(円城寺氏)の実現を目指すという。

 (2)では、円城寺氏らが中心となって一般社団法人EDACを設立し、ドローンによる救急救命などに取り組んでいる(関連記事2)。マラソンの走路を空からドローンで監視し、急に倒れたランナーなどを発見する仕組みを「いびがわマラソン」(岐阜県)に導入。シャツ型ウエアラブル端末で捉えた身体の異常を自動通報する仕組みを使って、ドローンでその遭難者を捜索するといった実証も進めている。