漏れの不安、不快な装着感、夜間交換や回数の負担――。おむつを用いた排泄ケアにまつわるこうした負担を軽減するサービス「おむつ最適化支援AI」を、ワイズマンが2017年11月下旬に販売を開始する。過去の介護記録データとおむつの使用記録を、AIを活用して分析し、利用者一人ひとりに合った最適なおむつの組み合わせや交換回数などを提案するサービスである。「第44回 国際福祉機器展 H.C.R.2017」(2017年9月27~29日、東京ビッグサイト)で紹介した。

 ワイズマンが考える「おむつの最適化」とは、利用者の状態・状況に合わせたおむつの組み合わせの最適化と、利用者および介護者の負担を低減するおむつ交換回数の最適化の2つの視点である。前者は、おむつの内側に入れるパッドの重ねを減らすことによる、薄く・軽く・動きやすい快適な組み合わせ、漏れによる衣類・寝具の汚染をなくす組み合わせの実現。後者は、体位変換時の身体的負担や夜間交換による睡眠の妨げを軽減でき、一般的な交換回数(1日7回程度)を4回に削減することだという。

 「1日4回の交換は、介護事業所が試行錯誤で実証した回数。おむつ最適化支援AIは、利用者・家族、介護者の身体的・精神的負担を減らし、管理者にとってはおむつ代を削減できる。一方、快適な装着感や漏れの不安を解消することで、利用者のQOL向上が期待できる」(ワイズマン 商品企画本部商品企画部シニアスタッフの佐藤峻作氏)。

 介護記録データおよび使用おむつの記録の分析には、IBMの統計解析ソフトウエア「IBM SPSS Modeler」を採用。排泄の傾向、おむつの使用(組み合わせ、利用数)傾向を導き出す。この分析結果を基にワイズマンが開発したアルゴリズムを用いて、おむつプラン変更などのアセスメント提案を行うとともに、おむつの組み合わせや交換回数などの最適なおむつプランを提示するという。「新たなおむつプランによる排泄介助の実施記録をさらに分析・蓄積することで、最適化の精度を上げていく」(佐藤氏)。

おむつ最適化支援AIのコンセプト・概要
おむつ最適化支援AIのコンセプト・概要
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 11月下旬に販売開始するサービス「おむつ最適化支援AI」は、同社の介護ソフト「ワイズマンシステムSP」と連携することで利用できる。2018年6月をめどに、ワイズマンシステムSPの既存ユーザーでなくとも導入できる単体のシステムも発売する予定という。